Microsoft Office 2003
Word Manual

マクロウイルスの駆除

ウイルス駆除の前に

・ウイルスがマクロをコピーする先は"ThisDocument"か独自のモジュールか?
#「W97M_Melissa」の場合:独自モジュールを作成

・ウイルスがモジュールを作成する場合はそのモジュール名
#「W97M_Melissa」の場合:"Melissa"

この2点が確認できない場合、手動駆除は行えません。
また、ウイルスマクロ以外にアプリケーションやユーザーが作成した有用なマクロがファイル内に含まれていた場合、 それらも削除してしまう可能性があります。
有用なマクロかどうかの判断がつかない場合は手動駆除は行わないでください。

テンプレートファイルの削除

Wordでは起動時にテンプレートフォルダ(デフォルトではtemplate)にある標準テンプレートファイル「NORMAL.DOT」をテンプレートとして読みこむ機能を持っています。
ほとんどすべてのWordマクロウイルスはこの機能を利用してWord起動時にウイルスマクロを自動的に読みこませる仕組みになっています。

注意
 WindowsNT/2000などのマルチアカウント環境ではこの「NORMAL.DOT」がOFFICEのインストールフォルダ以外に各ユーザー毎にそのプロファイルフォルダにも作成されている場合があります。

以下の手順でウイルスのテンプレートファイルを削除してください。

1:Windowsの「検索」機能で「NORMAL.DOT」を検索
スタートボタン検索ファイルやフォルダを選択し、ファイルまたはフォルダの名前:NORMAL.DOT探す場所:マイ ドキュメントの条件で検索開始をクリックします。

マクロウイルスの検索 マクロウイルスの検索条件

2:テンプレートファイルを削除
検索されたNORMAL.DOT削除してください。
標準テンプレートは次回Word起動時に作成されますのですべて削除してもかまいません。
ただし、ユーザーが何らかの標準設定を行っている場合、その設定も失われてしまいます。
この判断がつかない場合には手動駆除は行わないでください。

Wordファイルからのウイルスマクロの削除

ウイルスはファイル内にウイルス独自のモジュールを作成したりWordの標準モジュールである"ThisDocument"にサブマクロを作成することによってWordファイルに感染します。
逆にWordの機能を利用してマクロを削除することによってウイルスを駆除できます。
以下の手順でウイルスマクロを削除してください。

1:Wordのマクロ警告機能を確認する。
Wordにはマクロ実行時に確認メッセージを表示する機能があります。
この機能を有効にしておかないと感染ファイルオープン時にウイルスマクロが自動的に実行されて感染しまいますので、必ずこの機能の有効無効を確認してください。
まずWordを空の状態で起動してください。上記手順でテンプレートを削除しているので単にWordを起動しただけではウイルスが動作することはありません。

Word97の場合:
メニューバーツールオプション全般タブ内のマクロウイルスを自動検出するのチェックボックスをオンにします。

Word2000の場合:
メニューバーツールマクロセキュリティタブ内のセキュリティレベルの設定をに設定します。

セキュリティの設定 セキュリティの設定

2:感染ファイルを開く
感染ファイルをオープンします。オープン時にマクロの警告メッセージが表示されますので マクロを無効にするボタンをクリックしてください。
1:の手順でWord2000の「セキュリティレベル」をに設定した場合は何もメッセージが表示されずファイルがオープンします。

3:VBE(VisualBasicEditor)を起動する
ウイルスマクロの削除はVBEを使用して行います。メニューバーの「ツール」→「マクロ」→「Visual Basic Editor」でVBEを起動してください。

セキュリティの設定

4:ウイルスマクロを削除する
VBEが起動したらウイルスマクロを削除します。ウイルスがマクロをコピーする先によって以下のa)、b)いずれかの方法でウイルスマクロを削除してください。
#「W97M_Melissa」の場合:独自モジュールを作成するのでa:の方法で削除

a:独自モジュールの場合:
通常オープンしたVBEの画面左上方に「プロジェクトエクスプローラー」のウインドウ(タイトルが「プロジェクト ― VBAProject」となっているウインドウ)が表示されています。
このプロジェクトエクスプローラー内の「モジュール」フォルダをダブルクリックして開きます。
ウイルスが作成したモジュールを右クリックしてコンテキストメニューから「<モジュール名> の削除」を選択して削除してください。
削除の際に「〜エクスポートしますか?」というメッセージが表示されますのでいいえを選択してください。#「W97M_Melissa」の場合:"Melissa"というモジュールを削除

b:ウイルスマクロを削除する("ThisDocument"の場合)
「W97M_Melissa」とは異なり、Wordの標準モジュールである"ThisDocument"内にサブマクロを作成して感染するタイプのウイルスもあります。この場合は以下の方法でマクロを削除します。
「プロジェクトエクスプローラー」内の「Microsoft Word オブジェクト」フォルダをダブルクリックして開きます。「ThisDocument」モジュールがありますのでダブルクリックしてください。
VBE内にコード編集のウインドウが開き、マクロコードをテキストエディタの要領で編集することができます。
メニューバーの「編集」→「すべて選択」ですべてのコードを選択してDELキーで削除してください。
なお、"ThisDocument"モジュール自体を削除することはできません。

以上でファイル内からウイルスマクロを削除できました。ファイルを保存し閉じてください。